NEVER SAY DIE/WIG WAM
82pt:It’s not a party rock, just a gritty rock
再結成はとてつもなく重いものである。ファンにとっては夢にまでみた瞬間であるが、アーティスト側はその思いを搾取するわけである。それをわかっていてやるのだから罪深い所業とも言えるだろう。それでもファンはハッピーだし、アーティストも潤う。ある意味Win-Winである。
一方で頑なに再結成しないバンドも存在する。日本で有名なのはBOOWY、JUDY AND MARYあたりか。この両バンドはよくある方向性の違いでは覆いきれないほどの確執があると聞く。それほどの遺恨がなければあっさり再結成するのであろう。そんな遺恨を解散後にはっきり示していたのがWIG WAMである。しかし、彼らは恩讐を乗り越えて再結成し5thアルバム「NEVER SAY DIE」をリリースした。
この「NEVER SAY DIE」だが、従来のWIG WAMの印象とは異なるアルバムである。WIG WAMといえば古き良き80’sポップメタルの伝承者というのが解散前のイメージであったが、今作は明るさ・ポップさが抜け落ちヘヴィなリフを主体とした骨太なハードロックである。骨太といっても元々WIG WAMはギターがメインのバンドであるので、鳴っている音は実のところ解散前とそれほど変わらない。その辺りは2ndアルバム曲のリメイクであるM13「Dare Devil Heat 2020」(日本盤ボーナストラック)を聴くとわかるのではなかろうか。
序曲であるM1「The Second Crusade」に続くM2「Never Say Die」は一瞬ヘヴィなリフにギョッとするがサビはキャッチーな新生WIG WAMを象徴する一曲である。M4,M6,M8,M9も同路線のハードロックナンバーであり、全体がダレない作りとなっている。中でもM9「Call Of The Wild」はFlashことBernt Jansen(Ba)にリードボーカルを任せるには惜しい佳曲だと思う。一方でそれらに挟まれるミドルテンポの楽曲がイマイチであり、M5,M11などは絶妙にたるかったりする。
また今作において一番意欲的であったのだろうか、TeenyことTrond Holter(Gt)のギターはキレッキレであり、各曲のリフはもちろんのこと、インストナンバーM10「Northbound」やバラードM12「Silver Lining」でもハッとさせられるソロを弾いている。
今作をシリアスと捉える向きは多いが、聴後の印象もまさしくその通りである。WIG WAMの楽曲から明るさとポップさが無くなり、さらにユーモラスさまで無くなった時に残ったものが本作と言える。この余分なものをそぎ落としたソリッドなハードロックこそ彼らの根幹であり新生WIG WAMの方向性なのだろう。
正直、その余分なものこそ彼らのアイデンティティーであったと思うのだが、楽曲には変わらずキャッチーなメロディーが多いので次作以降も期待したいと思う。
Songs Rating
1 The Second Crusade
2 Never Say Die ★★★
3 Hypnotized ★
4 Shadows Of Eternity ★★
5 Kilimanjaro ★
6 Where Does It Hurt ★★
7 My Kaleidoscope Ark ★
8 Dirty Little Secret ★★
9 Call Of The Wild ★★
10 Northbound ★
11 Hard Love ☆
12 Silver Lining ★
13 Dare Devil Heat 2020 (Bonus Track) ★★★
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