EXHIBITS/WORK OF ART

83pt:Even gentler than ever…Has withered?

80年代、90年代にデビューしたバンドはMETALLICAやSLIPKNOTのように(音楽性が変わっても)1度気にいったらずっと追っかけていることが多いのだが、00年代デビュー以降になるとその数はかなり少なくなってしまう。このWORK OF ART(以下、WOA)はそんなバンドの1つである。と言っても今回取り上げる現時点での最新盤「EXHIGITS」は4作目なので、そんなに追っかけてるわけでもないか。そういや、上の2つのバンドも寡作と言えば寡作だな。まぁアルバムをたくさん出していることが必ずしも良いわけではない。

WORK OF ARTのバンド結成は1992年と歴史自体は古く、2008年のデビューまで16年かかっていることを考えると相当な苦労人である。しかしながらデビュー作の「ARTWORK」のクオリティの高さもさることながら、Robert Sall(Gt)はW.E.T.の参加などでもソングライターとしての名声を上げ、2ndアルバム「IN PROGRESS」が出る頃にはメロディックロック界では有望株として目されていたと思う。

その後3rdアルバム「FRAMEWORK」をリリースし、3部作と位置づけていたこともあってラスト作と言われていたが、5年のインターバルを経てリリースされたのが「EXHIBITS」である。

さて、この「EXHIBITS」だが前3作とは少々趣が異なる。WOAと言えばキラキラしたキーボードを盛り込んだAOR寄りの(というか極めてTOTOっぽい)メロディアスハードという印象が強いのだが、今作はそれよりもマイルドな味付けとなりAORといって差し支えない出来栄えである。

リリースに先行してリードトラックであるM2「Be The Believer」を聴いた時は良い意味で変わらないいつものWOAと思ったが、その後にM3「Another Night」を切ってきたのは今考えると「Be The Believer」はあくまで顔見せで今作はよりアダルトな路線でいくよという意思表示であったのかもしれない。

Jim Peterik(ex. SURVIVOR)との共作であるM1「Misguided Love」とM11「Let Me Dream」もその傾向が強い。奇しくもアルバムの冒頭と最後を締める2曲であるのだが、この2曲を冒頭と最後に配置したのことも今作の方向性を明確にしているとも言える。前3作との延長線にあるのであれば間違いなく「Be The Believer」が1曲目だろうし。(ちなみにライナーノーツ等ではJimによる曲の提供は4曲とあるが、上記の2曲以外は作詞面での提供である。)

またLars Safsund(Vo)の声がやや透明感を失っているように聴こえるが、今作は高音域を要する場面が少ないので感じられにくいだけだろう。いずれにせよこの方向性にはマッチしていると思えるし、変わらず安定した歌唱を提供してくれている。

ただ今作は前3作と比べるとメロディが弱い(特に中盤)と感じる場面が多い。M7「If I Could Fly」とかM10「What You Want From Me」あたりは良い曲なのだがもっと練ってもよかったのではと感じてしまう。元々時間をかけてアルバムを制作するバンドではあるが、その待望のアルバムのメロディが期待外れであることはこのジャンルでは結構致命的であったりする。そのため、残念ながら前3作と比較してしまうと評価を低くせざるを得ない。

次作があるかはわからないしいつになるかもわからないが、次が勝負作になることは間違いなさそうである。彼らの魅力的なメロディーに惹かれた者としては、その輝きを再び取り戻すことを期待したい。

Songs Rating
1 Misguided Love ★★
2 Be The Believer ★★★
3 Another Night ★★
4 This Isn’t Love ★★
5 Gotta Get Out ★★
6 Come Home ★
7 If I Could Fly ★★
8 Destined To Survive ★★
9 Scars To Prove It ★
10 What You Want From Me ★★
11 Let Me Dream ★
12 Scars To Prove It (Acoustic Version) ☆